2018年5月24日木曜日

Chapter7:悪しき夢から覚めて

やめろ……


こっちへ来るんじゃねぇ!!




かはーーーっ!!


ガバッと目を覚まし、気がつくと俺は自分の家のベッドで
全身脂汗にまみれていた

「夢か……」

俺は安堵してほっと溜息した

とんでもねぇ夢だったぜ……
ピィとププリンと共にウキウキしながら「学園行きの船」に乗ってたら
その船が凶暴なジャック犯どもに襲撃されちまった

最初はいい感じだったのに途中から"凶悪な悪夢"に変貌しやがった
どうすりゃあんなひでぇ夢を見るんだ……

「くそ、悩み過ぎて頭がどうかしてやがる」

俺はフラフラ立ち上がり、気分転換に窓を開けて外の空気を吸った

すでに外は明るく、遠くの空でペリッパーさんとチビすけがバッサバサ飛んでいた
朝っぱらから親子でどこかへお出かけか?

途中でチビすけがバランスを崩して落っこち、
ペリッパーさんがそれを追いかけ、背中でキャッチするのが見えた

「おいおい!ハラハラさせるぜ……」

チビすけのやつ、相変わらず飛ぶのが下手みてぇだな
何たってまだ5歳児だししゃぁないが



それにしても体が重い……

まるで1年半ぐらい寝てたような錯覚を感じるぜ

目まいでクラクラしていると「くしゃっ」と何かを踏んづけた
一枚の紙切れがあった

「何だ?書き置きか」

それにはザツな字で一言だけ書かれていた

『ちょっと散歩行ってくる!』
……だってよ
しかも可愛いデフォルメの顔サインつきだ

あいつ、やっぱり本当は女の子なんじゃないのか?

「サニーゴめ……こんなもんベッドの上に残してお散歩かよ
市長のくせにずいぶん気ままなやつだな」

昨夜、ここであいつとグミ食いながらくっちゃべった記憶が蘇る
マセガキだが割と楽しい奴だった。足は強烈に臭かったがな。チビすけの足ぐらいに。

よく覚えてないが……喋ってる途中で俺は寝ちまったんだっけ?



何かおっそろしい「侵略者」を見たような気がするが……

いや、きっとあの悪夢のせいか


くそっ……
寝ぼけてるせいか現実と夢の区別が曖昧になってやがる

俺は考えるのをやめ、便所に向かう事にした




「う、そういえば」

ゴシゴシ歯を磨いてると"ある事"を思い出し、どんよりとした気分になった


ピィとププリンに「今の状況」を話さなくちゃならない……





だが、どうやって説明する……
俺たち全員、リザードンさんに学園への入学資格を剥奪されたなんてよ


しかし解決法はある……

サニーゴはこう言っていた
この街を離れ、《デイズマリン》に引っ越せば自分が何とかしてやると
今となってはその言葉に賭けるしかない

「二人を説得して引っ越しを決行させるんだ
俺たちが《シルヴァー学園》へ入学するには最早それしかないんだからな!」

俺は自分に言い聞かせ、水で顔をバシャッと洗った


その直後、窓の外から「ピチュー!」と呼ぶ声がきこえた
他でもない……あいつらの声だ

「な!?もう来ただと」

予想外の事態に俺は揺らいだ



上等だぜ……

俺はゴクリと唾を飲み、二人を部屋に入れてやった



「ピィ、ププリン……」

いつもと違い、まっすぐ視線を合わせる事ができなかった

俺が市役所の窓から落ちた事を聞いて
二人はいてもたってもいられず、すっ飛んできたってよ

「あべべべべ~!
骨が折れたって聞いたけどもう平気?」
「アンタ、市役所の便器に挟まって全身クソまみれになったそうね!」

う、そんな事になってね~よ!
一体どういった噂が飛び交ってるんだ……

俺がピンピンしているのを知ると、二人とも安心したようだった

「そういえば、リザードンさんに『入学案内』は再発行してもらえたの?」

ピィの質問に俺はギクリと震えた



やはり来たか……

こうなりゃもう言うしかなさそうだ



「実はだな……」

俺は二人に洗いざらい話した

『入学案内』を取り戻せなかったどころか
三人ともリザードンさんに入学資格を剥奪されちまった事……

そして、俺たちが《シルヴァー学園》に入学するには
ポケットタウンを離れてデイズマリンへ引っ越すしか道は残されてないって事も

「絶交」されるのを覚悟で俺はピィとププリンに全てを打ち明けた

「え~!リゾートの街だって~!?僕も行きた~い!」
「最高じゃない!!
パパとママを脅してでも引っ越すわ!」



おい。


怒るどころか、あまりにも嬉しそうに快諾してくれた二人に
俺は安堵を通り越して拍子抜けした

ていうかピィ……
「脅す」ってお前……相変わらずのやつだな

どうやら思ったよりもあっさり問題は解決しそうだ

「ねぇ、買い物に行こうよ~!
ショッピング~!」

何の脈絡もなく突然ププリンがショッピング行こうぜと言い出した
どうした急に?

「忘れたの?今夜はカプじいの「誕生日パーティ」よ
アンタいつもプレゼント何にしようかって、ほくそ笑んでたじゃない!」

何だと!?

う、そういえば……今日はカプじいの「誕生日」だったっけ
ゴタゴタしててすっかり忘れてたぜ

まさか大恩人の誕生日を失念するとは、とんだ不覚だった!
こうしちゃいられん!さっそく街へ繰り出すぜ

ずっと頭を悩ましていた問題も解決し、最高に晴れ晴れとした天気の中
俺たちは颯爽とショッピングへ出かけた

楽しい一日になりそうだぜ!


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