Chapter1:ピチューとカプ・コケコ

かはーーっ!!
俺様の連載小説がついに堂々復活だぜ!





New!ポケットアイランド物語


Chapter1:ピチューとカプ・コケコ



「朝ですぞ。ほれ起きんかピチュー!」


何者かに布団をまくられ、俺は目を覚ました。


……

なんだってんだよ!まだ朝の5時前じゃねぇか。
他人がぐっすり寝てる時にムリヤリ起こしにくるとは、ふてぇヤツだ。

こんな事しでかすポケモンは、"あの人"以外ありえないぞ。





「アローラ~!いつも早起きカプじいですぞ。」

「やっぱりカプじい!自重しろよ!」

俺は超スピードでベッドから飛び降り、文句を言った。


この人は《カプ・コケコ》。いつもアローラ~とか謎の挨拶をしてくるジイさんで、

俺やみんなからは敬愛を込めて『カプじい』って呼ばれてるんだ。
物忘れがひどくて、いつもとぼけた妙な喋り方をする。

たま~に今日みたく、お喋りの相手を求めて

朝っぱらから誰かの家にやってくるってワケだ。迷惑なジジイだぜ!



「ぐふぁ~!で、今日は何の用だ。カプじい」


俺はあくびしながら、

あからさまに面倒臭そうに言ってやった。

「ほう~。これを見てもそんな事が言えますかな?」


カプじいはニヤリと笑いを浮かべながら、持ってたバスケットをドンッと目の前に置いた。

俺はおそるおそる中を見た。


うお!こいつは……モモンの実にチイラの実にナナの実!

『木の実』の詰め合わせじゃねぇか!

カプじいは愉快そうに大笑いした。


「わしん家の畑で収穫した作物ぢゃよ。おヌシも一人暮らしでずいぶん苦労しておろう、

ほんのおすそわけですぞ。一緒に食べる以外ありえませんな。」

「カ、カプじい~!」


まさかの差し入れに嬉しくなった俺は、がつがつムシャムシャと

木の実を食べながら、カプじいとお喋りした。

こじんまりした丸い部屋が、だんだんと明るくなっていく……。




俺の名は《ピチュー》だ!

ポケットタウンって街に住んでる、ちょい悪のイカした電気ネズミだぜ!
今は街はずれにあるツリーハウスで一人暮らしをしてる。

両親の事は知らん。

3年前に、二人ともどっかへ夜逃げしたらしいって事以外はな。

親に棄てられた惨めなクソガキに成り下がった俺は、

カプ・コケコに拾われ、それ以来、ずっと"その別荘"にずっと住まわしてもらってるワケだ。

はっきり言ってこのジイさんには、感謝してもしきれないぜ。



「プハ~!ごちそうさん。」


木の実をぜんぶ食べ終えた俺とカプじいは、ハラいっぱいになった。


もうすっかり朝だ。

外でヤヤコマの母ちゃんが「ヒンカララ」とさえずってるのが聴こえる。


かはーっ!


よし、さっそく遊びにいくとすっか!

「きぃつけてな~!」と笑顔で手を振るカプじいに別れを告げ、俺は意気揚々と駆け出した。




《次のチャプター》

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